I.O.R.特別講演会 受講記

第9回 l.O.R.特別講演会を受講して

医療法人陽明会ユナイトみよし歯科 柴田 剛之

この度I.O.R.特別講演会を受講致しましたので、その受講記を書かせて頂きます。
私、同講演会を受講するが初めてでしたが、演題を拝見し、驚きと共に即座に申し込みました。 私がI.O.R.に入会したきっかけがI.O.R. Get Started Courseでした。
皆様ご存知かと思われますが、こちらのコースはインプラント治療の基礎となる解剖学的なことから診査診断・治療計画の立案まで、さらにはインプラント埋入・印象・縫合の実習まであるインプラント尽くしのとても濃厚なコースです。
そのイメージが強かったのか、それとも私のI.O.R.への愛が足りなかったのか、てっきりI.O.R.とはインプラント関係だけの研修会かと思っておりました。しかし、それは大きな誤解でした。

今回の特別講演会のパンフレットを見た時に、とあるご高名なお二人のお顔が目に止まりました。 しかし、そのお二人はインプラントの分野ではなく、ダイレクトボンディング界では誰もがご存知である、宮崎真至教授と青島徹児先生でした。
このお二人のお話を同時にお聞きできる機会など滅多にありませんし、受講料も優しい金額で…これらが私が即座に申し込んだ理由です。 改めてI.O.R.の名の由来を確認しましたところ、「口腔内再構築研修会」との事でした。 口腔内再構築するのはインプラントだけではありません。改めてI.O.R.の奥深さに驚愕させられました。

講演会当日はとても天気が良く、行き先を変えてしまいたくなりそうでしたが、会場である品川シーズンテラスへと向かいました。
最前列の席を確保し、期待に胸を膨らませながら開演時間を待っていたところ、何と、隣の席にいらしたのが演者であられる青島先生でした。期待と共に緊張も生まれ、身の引き締まる思いで講演会に挑むことができました。

講演会は日本大学保存学教室修復学講座の教授であられる宮崎真至先生のセッション「接着技術を活かしたし歯冠修復の理論とその実際」からスタートされました。 私は宮崎先生のご講演を拝聴するのが初めてでしたので、大変楽しみにしておりました。
内容はというと、窩洞外形を決定する因子やプライマー・ボンディング材の塗布方法等、今さら聞けないような基礎的なものから、国内で流通している製品別の特性や具体的な充填時のテクニックまで、まさに明日からの臨床に生かす事が出来る内容が盛り沢山でした。
また、スライドの随所に音楽や動画を盛り込んでおられ、受講者の集中が途切れないような工夫もなされておりました。 そのおかげもあり、比較的リラックスしてしまいがちな私も最後まで集中して拝聴するとができました。

美味しいお弁当の後は、午後の部、青島先生のセッション「Biomimetic Approach in Direct Restoration 天然歯模倣から見えてくるダイレクトボンディングのボーダーラインとオールセラミック修復 ?クラウンする前にやるべき事?」のスタートです。
私自身、ハンズオンを含め青島先生のご講演を拝聴するのは4回目となりますが、毎度新しい内容が組まれており、常にアップデートなさっているのが感じられます。 まずは、青島先生がダイレクトボンディングを始めてから既に10年以上経過していることから、長期経過症例を示されておりました。

初めて商業誌に執筆した症例を現在の手技と比較して話されたり、失敗症例を包み隠さず示してくださいました。 また、NCCL(非う蝕性歯頚部歯質欠損)がブラッシングによるものであるという見解を裏付けるものとして、縄文人の頭蓋骨のスライドを示されました。
そこには現代人とは比べようのない激しい咬耗が認められましたが、NCCLを呈する歯牙は1本も認められませんでした。これは、アブフラクションよりも現代人のブラッシング文化によるものが大きい事を示唆していると思われます。 ダイレクトボンディングの講演会で縄文人の頭蓋骨を示す演者は青島先生くらいではないでしょうか。 さらにダイレクトボンディングのデモンストレーションもしていただき、大変内容の濃い時間となりました。

最後に1日を振り返り、質疑応答の時間が設けられました。 通常の講演会では挙手制の場合がほとんどですが、今回はウェブにて投稿する形式でした。
大勢の前で挙手するのは大変勇気のいることですが、この形式ですと会場内の全員が遠慮なく聞けますので、受講者思いで大変ありがたい試みだと感じました。 匿名ならではの質問もあり、大変盛り上がりました。

今回の講演会に参加させていただき、ダイレクトボンディングがより身近なものに感じられました。
ご講演いただきました宮崎先生、青島先生、またI.O.R.の先生方と運営に携わる全ての方々に御礼申しげます。 今後ともご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。


第8回 I.O.R.特別講演会を受講して

DENTAL TANIZAWA 谷澤 綾乃

とある日,I.O.R.から一通のメールが届きました.今回の特別講演会の紹介でしたが,今までにないテーマに驚き,興 味を強く抱きました. プログラムチェアマンの三隅先生の紹介文にもあったようにインプラントと歯内療法という一見対極にあるように見える今回の内容と,演者として大変ご高名なお二方のお名前を拝見し,やや興奮気味にその場で申し込みをいたしました.

「ミクロの所見を臨床に生かす―石灰化が処置にもたらすもの」
MicroPex Endodontics,Endodontic Network TOKYO中川寛一先生
「最新の歯内療法って何でしょう?」
澤田デンタルオフィス 澤田則宏先生
今回の特別講演会は上記の内容でご講演いただきました.

中川先生は最近まで東京歯科大学歯内療法学講座の主任教授としてご活躍されており,組織学や病理学の内容を含んだ専門性の高いご講演をしてくださいました.恥ずかしながら私自身,中川先生のご講演を拝聴するまではそこまで石灰化を意識して診療をしておりませんでした.しかし,よくよく考えてみると石灰化はう蝕治療,根管治療,歯周病治療,そしてインプラントと毎日の臨床で非常によく接していることばかりでした.
歯と歯周組織がどのような過程を経て石灰化していくのか,そしてその病理組織はどのようになっているのかという,大変貴重な資料を元に非常にわかりやすい解説をしてくださいました.I.O.R.の考えと同じく【エビデンスに基づいた治療】をする上で,歯根周囲組織では何が起きており私たち歯科医師はどのような機器や薬剤をどう使用するのかということを改めて考えさせられました.

澤田先生のご講演については,以前拝聴の機会に恵まれた経験があります.明日からの臨床に活かせるとてもわかりやすい講演をされる先生だとすぐにファンになり,その流れからエンドのコースを受講させていただきました.現在も当院の難症例は澤田先生に紹介させていただいております.
澤田先生の明日から活かせる内容の講義はさらにパワーアップされており,I.O.R.のプライベート感のある雰囲気のためか,オフレコのようなかなり踏み込んだ内容のお話までしてくださいました.マイクロスコープ,CBCT,ニッケルチタンファイル,根管貼薬剤,根管充填について(側方加圧充填と垂直加圧充填どちらが良いのか・シーラーのおすすめは?)など,私たちがまさに求めていた情報を余すことなく教えてくださいました.

今回の特別講演会に参加させていただいたことで更に根管治療に自信がついたように感じます.エンドとインプラント,一見対極に見える治療ですが,根本にある1本の歯(インプラント)と真摯に向き合い,納得できる治療を行うという気持ちは全く同じだと感じました.
ご講演いただきました中川先生,澤田先生,そして開催してくださったI.O.R.の先生と運営スタッフの方々に感謝申し上げます.
来年の特別講演会も今から楽しみにしております!!


I.O.R. 第7回特別講演会を受講して

東京都調布市開業 マーレデンタルクリニック 山口 陽子

クリスマス間近。色とりどりのイルミネーションが街中に溢れる中,2017年12月10日(日),品川シーズンテラスカンファレンスにて第7 回特別講演会が執り行われました。
毎年,特別公演会は日々の診療に繋がる充実した最新の臨床・裏話が受講出来る,非常に楽しみにしている講演会です。そして今年は3 名の著名講演者の先生方,興味深い表題のラインアップからも期待が膨らみます。

トップバッターは島根大学医学部歯科口腔外科学講座教授 関根浄治先生。「インプラント治療に必要な軟組織の管理と口腔粘膜に発症する疾患に纏わる最新情報」と題して,ノングラフトサイナスリフトで開窓骨復位後に再度血液を注入してスペースメイキングする方法,さらにナタデココ(セルロースの例として)をスペースメイキングとして利用する研究報告,下歯槽神経・血管束を骨切りして移動しフィクスチャー埋入後骨を復位する方法,口腔腫瘍切除後の再建顎骨に骨皮弁を骨膜のみにして移植・上皮化し非可動粘膜の獲得,とスタートから斬新で濃厚な内容です。

島根大学では,口腔がんに対して積極的に周知に取り組んでおり,PMDs(Potentially Malignant Diseases)=将来がんに移行する可能性を持つ疾患の早期発見と診断・治療に努めておられます。これはインプラント治療をするにあたって必要不可欠な基礎知識ですが,初期症状に非常に乏しいことや認知度が低く初期段階での発見が非常に困難であることから,口腔がん検診システムを導入し,地域のかかりつけ歯科医院との連携を積極的に行っておられました。我々も口腔がんの診査・診断方法,口腔上皮異形症の鑑別,扁平上皮癌の浸潤性等,口腔がんの基礎知識を,また,口腔がん患者には上部消化管の病変が合併することを学びました。続いて,BP製剤等服用者の薬剤性顎骨壊死の診断・治療,外科的治療時の休薬期間( 3 カ月)などの最新情報に触れました。近年はより効果のある注射によるBP製剤投与も多くなってきている中,インプラント治療も増えてきています。長年の患者さんには常に常用薬や他の治療の確認は欠かせません。

そして,今までは引き出してはいけないと考えられていた頬脂肪体の活用。骨にも置換可能な幹細胞が多く含まれ,骨造成の代わりに頬脂肪体を使用,さらにインプラント治療の幅が広がります。
次は同講座 管野貴浩先生。
外科手術の為ならどこまでも学びに出向,手術のために生まれてきた様な管野先生,患者さんの為なら眼窩骨折再建手術までもこなします。関根先生からもお話のあった頬脂肪体を口腔腫瘍切除後再建・サイナスリフトなどに使用,華麗なメスさばきで手術を成功に導きます。また次世代のバイオマテリアル材料であるスーパーフィクソーブMXは,骨伝導能・骨置換能・生体親和性を兼ね備え,移植骨のねじ止めやチタンメッシュの代わりになり,約5 年で吸収するため2 次手術が不要で,かつ安全性の高い次世代型骨接合・再建材料として注目されており,今後への期待が膨らみました。

ランチョンセミナーでは,我らが講師 榊原亨先生のご登壇でした。
㈱フォレストワンのソケットリフト用キット SCAKITを使用した手術のご紹介でした。脳に響く,と不評のソケットリフト。これを使えば患者さんの負担も少なく,安全で簡単にソケットリフトが行えます。
お昼休みを挟んで,いよいよトリの講師,医療法人雄之会つきやま歯科医院 築山鉄平先生です。未来型歯科医院とは?今や歯科医院の合言葉ともいえる「予防」。その本来の意味や,諸外国と日本の格差,これからの歯科医院の在り方を学びました。
日本は諸外国に比べて保険制度が非常に充実しており,日本人は何かあったらすぐに治療を受けることができます。それゆえ,最初から歯を大事にして病気にならないようにする・削らないようにする,という意識が,患者さんも歯科医師も非常に低い。本来は20歳までに予防の概念を確立していないと,将来治療を受けるリスクが高まります。「歯科医院の敗北の結果がインプラントという事実」というお話には非常に衝撃を受けました。治療の繰り返しサイクルの最終がインプラントになっているのです。「予防」という概念がまるでないのです。

アメリカ留学から帰ってきてから,未来型歯科医院を目指して日々奮闘されている築山先生,つきやま歯科医院での取り組みやスタイルを具体的に説明して下さいました。専門医による最高の治療,治療後口腔内の健康を保つための定期的なメンテナンス。そのために口腔内写真やレントゲン写真を患者さんがいつでも見られるようアプリの導入,CTスクリーニング,歯科医院での血糖値の検査・口腔がん検査など,全身の健康につながる情報を患者さんと共有して,共に歩んでいらっしゃいますまさに1 (口腔内)を診て10(全身)を知る戦法です。
そのためには歯科医師もスタッフも変わらなくてはなりません。WHAT=何をするか?その核心にはHOW=どうやってやるか?そしてその核心にはWHY=何のために?ほとんどの人が何のためにそれを行っているのかを理解していません。それこそ存在意義に当たります。スタッフ教育も,核心からついていかないといけないと感じました。

今回の講演会は本当に充実し過ぎるほどのボリュームのある内容で,時間がたつのも忘れるほどでした。これを教訓に,日々の診療に役立てていこうと,心新たに精進する所存です。
最後に,このような機会を与えてくださったI.O.R.の先生方,並びにスタッフの皆様に感謝いたします。


I.O.R. 第4回特別講演会、第6回例会に参加して

あいグローデンタルクリニック 石黒 慎太郎

平成26年6月8日(日)愛知県名古屋市、ウインクあいちにてI.O.R. 第4回特別講演会、第6回例会が開催されました。今回は、初の名古屋開催で私の地元での開催でしたので、このような機会は中々ありませんので、ありがたく参加させていただいた次第であります。

午前の部は、特別講演会として、横浜総合病院歯科口腔外科 今村栄作先生による、~併発症から学ぶoral surgeryのエッセンス~ と題しご講演頂きました。
まず普段開業医では中々見ることの出来ない症例の数々に、さすが口腔外科救急の第一線でご活躍されている先生だ!と思い、前日の懇親会でのお酒も吹っ飛ぶ感じで、目が見開いたのを覚えています。インプラント治療をはじめ、炎症、外傷、抜歯時の併発症、BRONJ患者の対応など、様々な口腔外科での考えられる併発症の症例写真を拝見し、拝聴していくにつれて口腔外科でおこっていることという見方から、日々の臨床の先におこっていることという見方に変わった瞬間、"うわっ恐っ"と思い、私たちが取り扱う領域は、常に危険と隣り合わせなんだと改めて学び、解剖学の大切さ、無知の恐ろしさを改めて痛感し、身の引き締まる思いでした。今後、日々の臨床にしっかりと反映させていこうと思います。

午後の部は、4名の会員の先生方による発表でした。インプラント治療に対する各々の切り口で発表され、すべてとても興味深い内容の数々でした。皆さん患者さんのためにできることを常に考えてみえるんだな?と感じ、同じ会員として私も頑張らねばという気持ちになりました。

最後に、今回参加出来たことに感謝いたします。ありがとうございました。


I.O.R. 第4回特別講演会 第6回例会(名古屋) 受講記

ハロー歯科 竹下 修二

I.O.R. 第4回特別講演会 第6回例会を受講してきました。
当日は、快晴で初夏の兆しを感じました。いつも例会に行く時は天候も良く九州から参加する身としてお天道様に感謝です。

特別講演は 今村 栄作先生による?併発症から学ぶoral surgeryのエッセンス?でした。
解剖のおさえておきたい所や手技のツボを直に拝聴できた事は幸いでした。
また BRONJの腐骨分離を促す療法として”テリパラチド補助療法”を知り得たことは収穫です。
会員の先生方の発表は興味深く、ぜひ自院でもパクらせていただこうと思いました(^-^)

名古屋に行くのは十余年前、月星先生のCEセミナーを受講して以来です。
当時は、歯科医師免許は取得したけど診療の右も左も分からず、迷惑をかけていました。
兄に薦められ受講し、ついていけるか不安でしたが、熱気溢れる講義や実習を受けるにつけコースが終わる頃にはすっかり臨床の面白さを知らされました。
あのときは、名古屋駅前のビル群が非常に威圧的に感じられましたが、今回は青空にバックに清々しく感じられました。
思い出深い当地を訪れる事も出来、初心を思い出す良い機会となりました。

年末の、特別講演会も濃い内容になりそうです。ぜひ参加したいと思います。
先生方ありがとうございました。